「女性」ではなく「生理がある人」と言わないと差別になるのか

*トランスジェンダーへの差別に関する内容を含みます。閲覧してしんどくなる方もおられるかもしれませんのでご留意ください。

「〜するだけでもトランス差別と呼ばれるようなおかしな世の中になってしまう」という発言を見かけて、よくわからず困惑した経験がある人がいるかもしれません。

このような「〜するだけでもトランス差別」論法は、トランスジェンダーの活動に否定的な意見を持つ人たちが、他の人たちを混乱させ「なんだかトランスジェンダーというのは自分たちとは全くちがう人たちだな。不安だな。社会はこの先どうなっていくんだろう。トランスジェンダーばかりが優遇されていくのだろうか、自分はついていけないな」と思わせるためのトリックであることが多いです。

「女性」ではなく「生理がある人」と言わないと差別になってしまう、という流言についてはシオヤギ (id:Goatskin)さんによる記事「女性」でなく「生理のある人」と呼ばないとトランス差別? 〜よくある疑問への回答〜によくまとまっていますので、ぜひご一読ください。

シオヤギさんが上記の記事でいくつか紹介しているとおり「トランスジェンダーとセックスしないのはトランス差別になってしまう!?」などの「〜するだけでもトランス差別」論法は、インターネット上にあふれています。どんな人でも同意なしに他者とセックスをしようとすれば、それは性暴力です。そのような当たり前のことすらトランスジェンダーという非常識な人たちは共有せず、自分たちの権利ばかり主張しているという恐ろしいイメージを植え付けようとしている人たちがいます。

トランスジェンダーは人口の1%にも満たない集団であり、埼玉県の調査をもとにすれば、現在特に攻撃されているトランス女性は人口の0.05%にも満たない存在です。「トランス女性に出会ったことがない」「友人や知人にトランス女性がいない」人が多数派である中で、このような「おそろしいトランスジェンダー像」を信じてしまう人もいます。

ちょっと変だな?と思ったら「ひょっとしたらデマかもしれない」と疑ってみるぐらいがちょうどよいかもしれません。「トランスジェンダーはよくわからない主張ばかりする恐ろしい人たちだな」という印象を広めるために、積極的に誤情報を流す人たちに注意しましょう。

(追記)ちなみに、90年代後半〜2006年頃にかけて、男女平等や性教育を推進したくない人が「性教育を推進しようとする人たちはフリーセックスを推奨している」「人間を中性化しようとしている共産主義の革命戦略だ」「ひなまつりなどの伝統行事を破壊しようとしている」などの流言をひろめていました。荻上チキさんがまとめたジェンダーフリー&バックラッシュ騒動まとめを見ると、トランスジェンダー排除のロジックは、かつて男女平等に反対していた人たちのそれと酷似していることがわかります。

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